香りが違うかつおだし!
一番だしといったら、やっぱり憧れのかつお節です。
片手でわしづかみにして、お鍋にドサッと山盛り入れているイメージのかつお節。
「あんなに使うのかぁ…」と尻込みしてしまっている人も多いと思います。私がそうでした。
「あんなに使ってたら、かつお節代メッチャかかりそう!」
「あの量削るの辛すぎ…無理…」
実は、一般家庭で味噌汁を作るぶんには、あの量がなくても大丈夫です。
よくメディアで目にするあのかつお節ドサー!には秘密があります。(秘密ではないんですが)
①かつお節の幅が広く、薄くきれいに削れているので、フワッフワしていて量が多く見える
②一番だしを取っていることがほとんどで、そもそも使う量が多い
料亭で出すようなすまし汁など、お出汁そのものを味わうような料理は、使う量が違います。
最初からあの量を意識すると、心がくじけてしまいます。
もちろんあれくらいやるととてもおいしくなりますが、一握りの自分で削ったかつお節でも、家庭の味噌汁くらいならじゅうぶんおいしくなります。まずはできる量から始めてみましょう!
初めから料理が上手い人なんていません。だしだって同じこと。最初から旨味と香りを最大限引き出しただしを取れるほうが珍しいのです。
やってみて、やり方を変えていって、初めて「あっ、この方がおいしい」と感じることができるのです。
とりあえずやってみる人のかつおだしの作り方
昆布を水に浸けます。我が家は三人分でこれくらい。一時間くらい浸ければ十分です。
あまり長時間浸けると粘りが出ますが、私はあまり気にしません。朝から浸けっぱなしのこともあります。切り口が粘りますが、なんとなく体にも良さそうなので気にしません。
昆布を入れたまま、極弱火にかけます。
私はその間にかつお節を削ります。もちろん前もって削っておいてもOK。
かつお節は本枯れ節と呼ばれるものを使います。塊のかつお節としてよく目にするものですね。
熟成させるために表面にカビ付けがしてあります。最初はしっかりとキッチンペーパーで拭きましょう。
かなり汚れます。拭くのをさぼって布巾で抑えると…
布巾が悲しいことに。買ってきて最初だけでいいので、しっかり落としておきましょう。
ちなみに保存は、ジップロックに入れて冷蔵庫へ。
そしてかつお節を削るのはこちら!かつお節削り器。
下にすべり止めが付いているものも多いですが、安定しないなら絞った濡れ布巾を敷きます。こうするとすべりません。
削り方は、にんべんのサイトにわかりやすい動画があるので、ぜひ参考に。
にんべん かつお節のプロがこっそり教える削り方
https://www.ninben.co.jp/katsuo/kezuri/
刃の調整ですが、削れない!というわけでなければ触らなくても大丈夫です。売っているものはたいてい調整されています。慣れてきたら自分でいじってみてもいいでしょう。
ひとつアドバイスとして、慣れないうちはケガ防止のため、上から布巾でおさえることをおすすめします。
乾いた布巾をなるべく広げて、完全にかつお節の上にかけてしまいます。そして、削る部分が見えやすいように片側を手にかけます。布巾が小さいなら、そのまま削ってもOK。
こうすることで、万一刃が手に当たってしまっても、大ケガを防ぐことができます。
とくにかつお節が小さくなってくると、薬指の関節部分などを切ってしまいがちです。私は今でも必ず布巾でおさえて削っています。
かつお節をおさえて最後まで削る道具などもあるので、よくかつお節を削るならそちらもおすすめです。
削る量ですが、我が家三人分の味噌汁でこれくらいです。
少なッ!!
と思うかもしれませんが、この日は調子に乗って多く削った方です。削りたては香りが良いので、少なくても大丈夫です。
うまく削れなくても気にしない
削るのはコツが要ります。また、慣れないうちはどこを削っていいかわからないこともよくあります。
お店で売っているみたいに、ツヤツヤのペラペラに削れない…と悩まなくても大丈夫。
家庭によっては「かつお節粉」でだしをとるところもあるように、粉だっておいしいだしは取れます。
むしろ粉になっていると、だしをとった後にふりかけなどにしやすいというメリットもあります。
最初のうちは、ここか!?ここか!?とキレイに削れる面を探しながらいろいろ試してみるのも面白いですよ。
うちの息子のお気に入りは、繊維を断つように、それでいて紙のように薄く削ったガサガサのかつお節。
口に入れるとふわっと溶けてとてもおいしいのだそうです。私は「もっと上手に削れたらなぁ」と思ってしまうのですが、彼にはこれが最高の削り方のようです。
かつお節削り器について
かつお節を削るための道具、かつお節削り器。これがないとかつお節は削れません。
正直、これを買わなければいけないから、かつおだしに手が出せない、という人も多いのではないでしょうか。
買って、やっぱり面倒…となったらとてももったいないですからね。かつお節本体も同様です。一本買ったら最後まで使わないと…というハードルがあると思います。
しかし断言します。このページを見て悩むような方なら、買って損はありません。手元にあれば「やろうかな」という気にもなります。
かつお節削り器は本当にピンキリなので、初めは安すぎず高すぎず、気に入って使いたくなるものを選べばいいとおもいます。
おすすめのひとつとして、猫と魚の鰹箱。可愛いデザインはあまりないので嬉しいですね!
引き出しがプラスチック製なので、毎回洗えるのがポイントです。削りカスが残らなくて衛生的。
ちなみに私は、かつお節削り器を母からもらいました。母が削り器を使っているところを、私は三十年以上見た記憶がありません(笑)。
母曰く安物だそうですが、三十年の眠りを経て、今でも元気に働いてくれています。
パックのかつお節について
乾物屋さん、かつお節屋さんが直接販売している、だしをとる用の削り節パックはさておき、スーパーで売っているパックの削り節でだしをとるのはおすすめしません。
まず、量販店で売っている削り節はほとんど「荒節」と呼ばれるかつお節を削ったものです。
みなさんが「かつお節」としてよく見る、カビ付けをして熟成が進んだ「枯れ節」ではありません。
さらにかつお節は削ったそばから香りが飛んでいきます。香りが弱いということは、たくさん使わなくてはいけないということ。
コストもかかりますし、それでも削りたてには遠く及びません。
ただし、近所にかつお節屋さんがある場合は、削りたての本枯れ節をパックして販売していることもあります。削ってあるので日持ちはしませんが、削り器を買う前に試してみたい場合はおすすめです。
昆布を引き上げてから沸騰させる
削り終わるころには、鍋肌に小さな泡が付いて、昆布も柔らかくなっています。取り出して、強火にして沸騰させます。
沸騰したら火を止め、かつお節を投入。
沈んだらかつお節を引き上げて、かつおだしの完成です!
漉し器不要!網じゃくしでカンタン処理
かつおだしで面倒なのが漉す作業。ざるにキッチンペーパーや布巾を敷いて漉すのですが、毎回ペーパーを使うのはもったいないし、布巾は洗うのが大変。
そこでおすすめなのが網じゃくし。
ざーっと取って、ポイ。その後使うなら、指でチョイチョイとはがしてお皿へ。かつお節がペロッと取れなければ、流水で洗い流してもOK。
細かいかつお節は、気になるなら灰汁すくいで取ると気になりません。
私は写真のように、細かいかつお節の粉が残っていても気にしません。むしろかつお節なので、おいしいたんぱく質。具のひとつとして考えてもいいくらいです。
料亭のすまし汁ではないですし、味噌を溶いてしまえばまずわかりません。口に触る大きいかつお節が取れれば十分です。
かつおだしの作り方は、実は大根おろしよりカンタン!?
かつお節を削ってとるかつおだし。
面倒…大変…とにかくそんなイメージだと思います。
でもやってみると、大根おろしを作るよりカンタン。
お湯が沸いたら火を止めて、バサッと入れれば煮込んでしまうこともない。だしがらは網じゃくしですくったらポイと捨てて、洗い物もそんなに出ない。
皮はむかなくていいし、削る量もそんなに多くないんです。
紅茶みたいに蒸らす必要もないし、豆みたいに煮崩れることもない。
実は意外と手間ではないんです。
買ってきて最初の削り出しが一番面倒
慣れない最初のうちは「やっぱり面倒!」と思うかもしれません。
とくに、かつお節を買ってきて一番最初の削りはじめはかなり面倒です。私も今でも面倒だと思っています。
削り面ができてしまえばとても楽に削れるのですが、最初の面ができるまでは粉になったりしてちょっと大変。
初トライの人はどうしてもここで「やっぱりキレイに削れない!もうヤダ!」と凹んでしまいがちです。
最初は必ず粉になると思ってかまいません。だって面が無いんですから。粉だっておいしい出汁は取れるので気にしない。
逆にそこを乗りこえてしまえば、いつの間にか売っているようなペラペラのきれいなかつお節が削れるようになります!
かつおだしでアンチエイジング!?
かつお節で出汁を取ると、味や香りが良いという以外のメリットもあります。
それはかつお節の栄養素を摂ることができるという点です。
ビタミンD、E、B群やカルシウムも含まれていますし、旨味成分であるイノシン酸には新陳代謝をアップさせる効果もあります。
新陳代謝がアップすると、痩せやすい体になったり、肌の調子が良くなったり、免疫力が上がったりするといわれています。
実際にかつお節を食べるわけではないので、かつお節のすべての栄養素を摂れるわけではありません。
それでも、かつおだしに含まれる栄養素には、注目する価値があると私は思います。
かつお節を削っているときは本当にいい香りがします。コーヒー豆を挽くのと同じで、自分でやるからこその贅沢です。
私がかつお節を削ると、どこからともなく息子がすっ飛んできて「おいしい匂いがする!かつお節だね!?ちょうだい!」とねだります。幼稚園の頃から数年経った今でも変わりません。
削りたてのかつお節は、猫でなくてもとりこになるおいしさです。(ボーダーコリーのツナ氏もすっとんできます)
毎日やらなきゃ、と気負わないことがポイント。気が向いた時だけでも、普段とは違うお味噌汁にテンションが上がりますよ!